MORITOMOMENT

登山好きエンジニアのテックブログ

プログラミング・アウトドア関連を中心に発信

コミュニケーションデザインのヒントを登山から学ぶ

概要

コミュニケーションをデザインすることは重要ではないでしょうか? 最近オンラインサロンやオンラインコミュニティなど流行っていますね。そこではみんなが似た意思や価値をもっています。しっかりとした交流のためのプラットフォームが存在しているから、オフラインとオンラインともに議論が活発です。議論から刺激を受けて、自分の活動にコミュニティの学びを生かしていくなど個人それぞれが頑張れる場所なんじゃないかと思います。

僕はふとコミュニティでは、「人と人が会話しやすいことが大事」だと思いました。 なにかを相談したくても、意見を言いたくても、言えなかったら自分の中にその意見は止まってしまいます。誰かに相談すれば人生が変わるかもしれません。 じゃあコミュニケーションがしやすい環境に共通することは何だろうか。 コミュニケーションをどうデザインしたらいいんだろうか? これについて僕の大好きな登山から考えてみました。

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登山でのコミュニケーション

登山では登山者同士で会話する場面がすごく多いです。その場面が自然発生するので不思議ですが、ここにコミュニケーションの秘訣が隠れてそうじゃないですか?

道中でのあいさつ

登山道というのは、急登になっていたり、気の道があったり、岩ボコなみちだったり、バランスを崩してしまったら命に関わるような道など様々です。

そんなときに必要となるのが、登山者同士、下山者同士の気遣いです。基本的に登山者優先というルールがあるみたいですが、道によっては下山者を優先した方がいい場合もあります。 登山道では常に人を思いやる気持ちが生まれます。いっしょに登山しているメンバーを思いやり、他の登山客のことも考えて道を進んでいきます。

下山者とすれ違う際には、「こんにちは」、「お疲れ様です」など元気よく笑顔であいさつします。不思議なのが、みんながあいさつに返事してくれます。 下山時に登山者とすれ違うときには、「もう少しです。頑張ってください!」など励ましのあいさつをします。

写真を撮って欲しい!

登山では写真撮影がつきものです。登頂したぞ!って写真や、かっこいい岩との記念撮影、背景には綺麗な景色。撮影する場所がたくさんあります。自分たちではどうしてもメンバー全員が写る写真は撮れないので、他の登山客にお願いをします。

山小屋でのコミュニケーション

一泊二日で登山にいくような山には、山小屋があります。素泊まり、朝夕食つき、などプランはいろいろあります。 山小屋はその山の頂上から標高300mしたとか割と近くに位置しています。山小屋に一泊して早朝に頂上へ向かい、頂上から日の出を拝むってのが多くの登山客の流れじゃないでしょうか。

長い登山道を乗り越えてきた登山客たちが、山小屋でくつろいでいます。 山小屋には炊事場や外のテーブル等があります。そこで自分たちでバーナーを使っておつまみをつくってビールを飲んだりしてのんびりします。

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近くにいる人に「どちらから来られたんですか?」と聞かれたり、こちらから会話に入ったりすごい気持ちのいいコミュニケーションが山小屋では生まれています。すごいのが、年齢関係なく、わいわいおしゃべりしていることです。どんな世代の人でも山ではみんな仲良くしています。

どうして登山はコミュニケーションが生まれるのか

ここからが本題です。登山ではなぜコミュニケーションしやすいのか考えてみます。読者のみなさまも考えながら読んでみてください。「全然意見が違う!」、「その意見おかしいんじゃない?」って思ったら遠慮なくコメントください!!

道中での道のゆずりあいやあいさつ

これは、

  • 相手のことを思っていること
  • 場の状況(雰囲気)の理解

がすごく効いているんじゃないでしょうか。

いまはこういう道になっているから下山者を優先させた方がいいんじゃないか、などめちゃくちゃ相手のために考えます、

「思いやり」と「状況理解」って普段のコミュニケーションでも必要ですよね。たとえば誰かから相談を受けるときを例にしてみます。相談してくる人は、一生懸命相談したいことを話しています。

ただ相談したいことっていうのはモヤモヤしていることも多くて、あまりまとまった説明ができないですよね。そんな場面では聞き役の働きが大事となります。相談者の状況を理解してあげること、そして何より相談者目線でまず何を相談したいのか思いやって考えてあげること。

それができてやっと相談者が何を相談したいのかをわかってあげることができます。

写真撮影でのコミュニケーション

写真撮って欲しいからお願いしないといけない。でもそれってディズニーランドとかもそうじゃないかって感じだと思う方がいるかもしれません。

山登りと、ディズニーランドとかでお願いする写真撮影の決定的な違いは、 「景色が変わるスピード」、「人の流動性」だと思います。

景色が変わるスピード

ディズニーランドだと綺麗な建物などを背景に写真を撮ることがありますよね。でもこの景色って一日中静止してますよね。

けど登山はそのときの1分1秒の瞬間が大事なんですよね。雲が景色を邪魔しない瞬間を撮りたい人もいれば、雲がいい感じの配置になった時に撮りたいとか、こだわりがあると思います。

不思議なことに1分1秒の瞬間が現れるまで粘ってくれる人が登山客にはいるのです。僕も以前そういう体験をしました。本当に優しい方が集まっています。

ディズニーランドにいる人が優しくないと言ってるわけじゃないですよ。優しいスタッフ、笑顔であふれるお客さんがいて最高の場所だと思います。

ただ常に同じ背景を保存できるテーマパークだと、一瞬で撮影がおわるのでコミュニケーションは生まれません。登山だとその1分1秒を取るために待っている間にコミュニケーションが生まれます。そしてその1分1秒間にしかできない景色が取れた瞬間にお互い喜びを感じます。

そこで「共通意識」が生まれてコミュニケーションも弾みます。

人の流動性

「人の流動性」っていう観点では、ディズニーランドはたくさん人がいるので誰でもいいから撮ってくれそうな人を探しますよね。問題はそこではないと僕は思います。問題は写真を撮ってあげる側にあります。写真を撮ってほしそうにしている人を見かけますよね?でも、自分から撮ってあげる人は少ないと思います。人はたくさんいるので、「別に自分じゃなくても他の人がいるからいいじゃん」って通り過ぎて行きませんか?

一方、登山では人数は限られています。そこで「人を思いやる気持ち」が生まれます。自分が撮ってあげなかったらこの人は自撮りをすることになり、山での思い出の写真に妥協してしまう。そう思って写真をとってあげましょうかと声をかける人は多いと思います。

山小屋でのコミュニケーション

山小屋に着く頃にはもう疲れ果てています。 けどなぜコミュニケーションが生まれるのでしょうか。

僕は、「共感」と「安心感」だと思います。

登山者たちはこの山小屋に何のためにやってきましたか? 縦走しにいくために泊まる人、一泊二日で日の出をみに来た人、様々な目的があると思いますが、とりあえず泊まるその日は、この山小屋を目指してやってきました。 山小屋への道のりは、過酷です。 その過酷な道を乗り越えてみんなやってきています。

あの人もあの人もあの人も、みんな乗り越えてきたのかと思うとなんか親近感がわきますよね。それが「共感」です。 それだけでは話しにくいですよね。

でも山に登ってきている人って「登山」っていう共通の趣味があります。つまり共通のネタをみんな持っているんですよね。

だからコミュニケーションをとるのに「安心感」があります。

登山からコミュニケーションのヒント

以上の登山の話からコミュニケーションデザインのヒントをまとめます。

思いやり

相手のことを考えられる環境なのか

状況理解

コミュニケーション取れない状況を理解できるか、そしてそれを防ぐ状況にデザインできるか

景色が変わるスピード

その瞬間にしかない景色を共有できるか

人の流動性

この人だからコミュニケーションがしたいと思わせれるか。 ただコミュニティを育てていくことを考えると、人を少なくするとか、人数を固定してしまうのはいけないと思います。 やはり多様な人とコミュニケーションができるほうが個人としてもコミュニティとしても良いと思います。

例えば、人数を固定数にグループわけしてコミュニケーションをとって、数分たったらローテーションするとか。 いろいろ工夫が考えれそうです。

※一般的な流動性の意味として使っておりません

共感と安心感

共通意識や安心感を与える場をつくり、話したいと思わせれるか

この6つのヒントを登山から見いだしました。 コミュニケーションが大事となる場を作る人にとって、この6つのヒントから何か仮説を立てアクションを起こしてみてはどうでしょうか。

登山はオフラインのレジャーなので、オフラインでのコミュニケーションには役立つと思いますが、 オンラインでのコミュニケーションでは工夫して取り入れる必要があります。

みなさんのコミュニケーションデザインに役立つと嬉しいです。

今後も趣味から何か役立つヒントを探しつづけていきます。